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花見≠飲み会
桜の花びらが風に流されて飛んでいく。
何枚も何十枚も何百枚も。
薄紅色の雪のように青い空を埋め尽くしていく。
美しい風景を眺めて、4月の肌寒い風の中、花見にきてよかった。
などと感傷にひたってどこかに跳んでいた意識は、一瞬で呼び戻された。
「野郎共ー!!飲んでるかー!?」
「…花見に来たんじゃねぇのかよ。」
酒に弱いくせに、それを気にせず飲みまくるMZDとP-catは、花見が始まって30分もしない内にできあがっていた。
いぬ千代はすでに寝てしまっている。
「弱いなら飲まなきゃいいのに…」
「一年に一度の行事だし、たまにはいいんじゃない?」
隣に座っているKaeruはそう言った後、泡盛をイッキ飲みした。(一升瓶)
「黒神も飲む?」
差し出されたのはもちろん泡盛(一升瓶、コップ無し)。
「イッキ飲みしろと?」
「大丈夫。黒神ならいける」
「いけねぇよ。焼酎よこせ、できれば蕎麦焼酎」
「残念ながら、泡盛しかないんだ」
憎らしいくらいの笑顔で言われた。
「なんで泡盛しかないんだよ!!」
「産地直送だから」
「答えになってない!!」
「Des-ROWの奴らのとこ行ってみろよ。あいつらなら持ってるんじゃないか?」
コンビニ袋片手に、缶チューハイを飲んでいたカタツムリが、後ろの方を指差した。
そちらを伺うと、六たちDes-ROWのメンバーが花見をしていた。
学生達はジュースを飲みながら他愛のない話をしている。
そのすぐ横でいい年した大人が、刀などの武器を振り回している。
どうやらかなり酔っているようだ。
「行くの?」
「…行ってきます」
泡盛イッキ飲みよりは、酔っ払いに斬りかかられるほうがマシな気がしたので、焼酎を持ってないか訪ねに行ってみた。

5分後

「焼酎あった?」
「泡盛しかなかった…
なんで泡盛ばっかなんだよどんだけ沖縄好きなんだよお前らみんな琉球国民になっちまえ…」
「落ち着け黒神」
「お前も泡盛しかないって知ってたからコンビニ寄ったんだろ?なんでオレに教えてくれなかったんだよ。教えてくれたら焼酎買ってきたのに…」
「……ゴメン」
「それくれたら許す」
あまりの剣幕に負けたのか、あっさりとコンビニ袋を渡してくれた。
その中から好きな味のチューハイを選んで取り出して袋を返す。
「ツムリンも泡盛飲もうよ〜」
「泡盛は無理」
「黒神は〜?」
「オレはこれがあるから」
右手に持った缶チューハイを見せつける。
「泡盛おいしいのに…」
一升瓶を片手にもったKaeruが、つまらなさそうに瓶に残っていた酒を飲み干した。(おそらく3本目)
カタツムリから貰った(奪った)缶チューハイのおかげで、泡盛の恐怖から脱け出せた。
かと思われたのだが、泡盛の恐怖から簡単に脱け出せないことを知った。
「ツムリン〜」
「うわぁ!!」
酔っ払ったP-catが、カタツムリに向かって突っ込んできた。
勢いがつきすぎて樹にぶつかりかけたP-catをカタツムリが受け止める。
樹にぶつかることはなかったが、座って受け止めたため、P-catがカタツムリを押し倒しているような格好になってしまっている。
ちなみにKaeruは、カタツムリの正面にいたが、ギリギリのところでP-catの進路から外れ、被害が及ばないところに避難していた。

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あきゅろす。
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